第50回日本頭痛学会総会

第50回日本頭痛学会総会開催にあたって

五十嵐 久佳

第50回日本頭痛学会総会

会長 五十嵐 久佳

富士通クリニック

このたび、第50回日本頭痛学会総会を、2022年11月25日(金)・26日(土)に品川プリンスホテルアネックスタワー(東京都港区)で開催させていただくことになりました。東京で開催されるのは2015年の第43回総会以来、7年ぶりとなります。大変光栄なことであり、鋭意準備を進めているところでございます。

本大会のテーマは「頭痛医療と社会貢献」といたしました。

海外に約10年遅れてわが国で2000年にトリプタン注射薬、2001年に錠剤が発売され、日本の頭痛医療は大きく前進しました。しかし、一方で、いまだに受診率は低く、辛い頭痛を当たり前のように抱えて生活している人々が多いことも事実です。片頭痛や緊張型頭痛を持つ人々は世界で30億人といわれ、日常的にありふれた疾患でありながら、患者さんご自身も周囲の人も医療者も問題に気付かず、または受け流している状況が考えられます。

この数年欧米では、抗CGRP(受容体)抗体薬、gepant、ditan、non-invasive neuromodulationなど新しい治療法が次々に導入され、片頭痛や群発頭痛の治療は大きく変化しています。そして、わが国でも2021年からこれらの治療法の一部が使えるようになりました。これらの状況を踏まえ、2021年には頭痛診療ガイドラインも新たな治療を取り入れた内容に刷新され、また一次性頭痛のみならず、二次性頭痛についても多くのページを割き、頭痛医療全般にわたるガイドラインとなっています。

また、COVID-19が人々の生活を変える中で、2020年4月より「慢性頭痛」がオンライン診療の対象疾患となり、より多くの患者さんに専門医による頭痛医療を提供できるようになっていますが、普及のためにはまだ多くの課題があります。

医療経済の面では、医療費そのものよりも頭痛による労働損失が大きいことが問題であることが指摘されていますが、産業医学の分野では十分に認識されているとはいえません。

第50回総会という節目の時期に、頭痛医療にかかわるすべての人々が頭痛医療を通して人々のQOLを改善し、どのように社会に貢献できるかを、皆様とともに考え、次なるステップに発展させる学会にするべく、プログラムを企画したいと思っています。

2019年以来の新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、第48回、49回の2大会では現地参加が難しい会員の皆様が多くを占めていました。第50回大会では是非皆様と現地会場でお目にかかれますことを祈っております。

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